四季盛農園 式森彦人が、果樹・みかんの栽培から販売について、約1年間執筆した月刊誌「現代農業」への平成27年の寄稿文を紹介します。

現代農業平成27年7月号 先輩農家からのアドバイス

摘 果


摘果の目的
 

摘果のねらいは次の通りです。
・サイズを揃える
 小玉果または大玉果を取り除き、Mサイズ中心に揃えます。
・品質の向上
 病害虫の被害果、奇形果、傷果、天成り果などを除去します。また内成り果、裾成り果、果梗枝の太い果実など、糖度の向上が期待できない果実も除去。
・肥大促進
 葉果比25(果実1つ当たり25枚の葉)前後を基準とし、果実を間引くことによって、肥大を促します。
・隔年結果の防止
 葉果比が下がると、翌年の着果数が少なくなります。つまり、今年、果実を成らせすぎると、翌年はあまり成りません。それを防ぐのも摘果の大きな目的です。

品種ごとにやり方を変える
 品種により、摘果の時期と方法を変えています。
*ゆら早生
 小玉果を残し、強めの摘果をします。また、この品種は果梗枝の太い果実と細い果実で品質に大きな差が出ます。少し矛盾するようですが、強いせん定で、樹勢を強くし、果梗枝の細い結果枝をつくることが大切です。そして、7月中に摘果を終わらせておけば、樹勢を維持し、肥大を促すことができます。
 反対に、樹勢が極端に落ちると、開花期に樹全体が桜や梅の花ような状態となり、直花が結実し、果梗枝の太い実になります。その実は非常に商品価値が低く、また樹勢もさらに落ち、翌年もまた同じような樹の状態となり、枯れこんでいくという「負のスパイラル」に陥ります。このような樹は全摘果し、養分を樹に戻し、樹勢回復に努めたほうがいいでしょう。また、せん定を遅らせ、蕾や花を取り除くことも有効です。
*宮川早生
 4年前より、普及員の方にすすめられて、「9月摘果」を行なっています。遅い摘果で翌年の着花が少なくなってしまわないか心配していたのですが、いただいたデータの通り、その影響はなく、糖度も確かにアップしました。また、9月だと果実がある程度大きくなっているので、摘果作業もやりやすいですね。

*大津4号
 隔年結果のきつい品種なので、2年に一度、の収穫でいいと割り切っています(そのほうが圧倒的に品質がよく、経費も安くつく)。そのためあえて隔年結果を助長するようなせん定をします。成り年は、天成り極大果、奇形果、傷果などの不良果も含め、まったくの
無摘果です。

摘果で品質アップ隔年結果を防ぐ
 ミカンは着果の部位や様子で、ある程度、品質の良し悪しを判断できます。たとえば、果梗枝の細い果実、外成り果、垂れ枝に複数ついた果実は、糖度が高くなるため、樹の状態を見ながらですが、摘果を軽めに抑えたり、色の濃い果実を残したりします。ただ単に間引くのではなく、部位や果実によってメリハリをつけるというか、見極めることが必要ですね。
 ゆら早生と宮川早生は、粗摘果、仕上げ摘果と段階を踏むと、味(糖度)に影響してしまうそうなので、一回摘果とします。
 また、表年は比較的強いせん定で結果枝を絞り、裏年は軽いせん定で結果箇所を増やし、最後は摘果で調整します。このように摘果とせん定は互いにリンクしています。
 先ほど葉果比25前後と書きましたが、これはあくまで机上の論理です。現場の感覚では、一見「着果数が少ないとのでは」と思えるくらい、または果実がパラッとしか成っていない状態にすると、収穫期にはちょうどよくなるようにおもいます。
 理想をいえば、Mサイズの果実だけをつくりたいのですが、そんなことは不可能なのでM中心の果実を目指します。となれば、M、Sなのか、M、Lなのか。M、Sとなれば、比較的味が濃く、消費者の嗜好に合っているのですが、収穫に手間がかかり、なんといっても連年結果が難しくなります。M、Lとなれば、売れにくい2Lが出てきますが、収量が増え、連作結果を期待できます。このあたりがミカン農家の、またはミカン栽培の難しいところですね。