四季盛農園 式森彦人が、果樹・みかんの栽培から販売について、約1年間執筆した月刊誌「現代農業」への平成27年の寄稿文を紹介します。

現代農業平成27年4月号 先輩農家からのアドバイス

施 肥


品種によって、春肥、秋肥


 秋肥は春芽を充実させ、ある程度、隔年結果を防ぐことができます。だから、秋肥を中心で一本一目いきたいのですが、地温が12度以下になると、根から肥料を吸収しなくなります(この地域では11月下旬)。逆に秋肥が早すぎると、品質、色、味などに
影響するのではないかと心配になります。
・極早生
 10月中旬の収穫で、その後、時間に余裕があるので、秋肥を施用できます。
・早生
 11月上旬から下旬にかけて、収穫と出荷が重なり、秋肥施用の時間がとれません。
だから春肥としています。
・晩生
早霜の被害を避けるため、収穫終わりを12月中旬と決めています。この時期、すでに地温が12度以下なので、秋肥をやっても効きません。春肥で対応しています。
 またわが家の主力品種は「大津四号」ですが、隔年結果がきついため、あえて2年に
一度、収穫する栽培方法にシフトしました。収穫した翌年(果実を成らせない年)は、まず3月に施肥。そして、樹の状態を見ながら、翌年5月に肥料をやるかどうか判断します。
・中晩柑
 収穫は基本3月です。その後、5月の施肥で養分を補給します。また、樹の耐寒性を高めるために、秋肥も少し施します。
・レモン
 9月下旬から11月下旬、何度か収量します(大きくなった果実から順に収穫)。9月の施肥は、果実を大きくするためです。5月の施肥は樹勢を回復させるためです。

魚粕で味にコクと深みが
 以前は農協の配合肥料を使っていたのですが、友人何人かに動物性肥料をすすめられ、それ以来、約20年間、魚粕ペレットを使っています。確かに糖度が上がり、味にコクと深みが出てきたように思います。 余談になりますが、若木の場合、樹の大きさに合わせて、3月、6月、9月の3回に分けて、少量ずつ施肥します。これは、樹の「胃袋」がまだ小さいからです。余談の余談になりますが、私は大相撲の本場所を目安に、施肥時期を決めています。特に3月と9月は重要です。